1,はじまりの曲

         


2,Superstar


『Superstar』プロダクションノート

Small Circle of Friendsのルーティンワーク……。

2008年の9th ALBUM『FUTURE』リリース後も、
日常的にビートは作り続けていました。
それは日常であり、私達の生活だから
リリースしても何が変わる事無く続きます。

その一片一片のかけらや塊が、
アズマ&BASI "Design"の1stや、
"STUDIO75"3rd、
外へと振りまいた楽曲提供へと旅立ち、
そして今回の10th ALBUM『Superstar』へ
繋がって行きます。

そんな日々の作業を続けていくと、
Small Circle of Friends用のビートだけは、
作り始めの「ファーストタッチ」で
「あっコレはSmall Circle of Friendsの曲になるな…」
とわかります。
匂いがする。
そう感じたビートは他とは別に「SCOFbeatsフォルダ」として、
引き出しの中へ、貯めて行くのです。



「さあいよいよSmall Circle of Friendsのアルバムを作ろう」
そんな「ある日」は、やがてやって来ました。
引き出しのフォルダを開きビートを選び出したのが2011年頭。
思えば『Superstar』の制作期間は
実質2011年の1月から2012年6月まで。
けっこうはっきりと、あの日が来て、
この日が来た事がよくわかるアルバムでした。

とにかく、引き出しの中のビートを全て並べ見る、聴く。
そこから、まずざっくりとした全体像を描きます。
ようするに、こうです。
その音のすべてを上から見ていたら、
知らぬ間に育った木が枝葉を広げ、
知らぬ間に育っていた……..。
曲のイメージやテーマ、
更には曲順さえも浮かびあがってきたのです。

そうです。
本作は「一曲一曲作って集めた」のではなく
「一つの種から枝葉を広げた」
アルバムだったのだと思います。

 

二人とも、集中して歌詞を書いていた時期は、
2011年2月から8月にかけて……。

普通に生活をし制作をする日々の中で、あの日のコトは
閉じ込めて無視することの出来ない、心に残った大きな塊なのなら、
自然に思うように言葉に乗せよう。
無理をするでもなく、無駄にするでも無く……。
それは今回、はずしようのないファクターだったと思います。

ビートと歌詞制作をSmall Circle of Friendsのスタジオ
であるStudio75で…… 。
歌のレコーディングは私達がKomazawaLabと呼んでいる
「In The Garden Studio.」で主に行いました。

そしてもしかすると、結果ここが肝になったんじゃないか?
と思うコト… 。
本作のエンジニアリングはミックスダウンまで
自分達でやるというコトを最初から決め進行。
そしていつものようにマスタリングエンジニアに
その後は委ねるつもりだったのが……。

ミックスダウンを進めるゴトに、曲順と曲間が本作の重要なポイントで、
それに合わせて一曲一曲の強弱も、いつも以上にシビアになる。
そんな事を考えると、マスタリングエンジニアにミックスダウンを
説明し想いを伝える事は、膨大な時間と労力が必要になる事がわかっていく。
これは、自分達で全てやるコトがアルバムを作る上で出来上がった時に
納得の行くアルバムになるはずだと確信出来たのです。







*それではアルバム『Superstar』を一つずつご紹介。


1.はじまりの曲

「アルバムをどうスタートさせるのか?これはいつも悩むところ。
でも今回は制作をはじめると同時に最初の1曲目が出来ました。
さあこれからアルバムがはじまる。そんな気持ちを、
自分にもアルバムにも込める宣言のような音。
イントロから全体に渡って流れるシンセスイープが肝です。」

2.鞄の持ち方

「ボイスサンプルで"Here we go again…."と歌っていて、
それを元にテーマを決めました。
年齢を重ねて、キャリアを積む。そうやって音楽を続け、
変わった事、変わらない事に戸惑いながら
も再びアルバムを作る事に喜びを感じています。今も…。
そんな気持ちがタイトルにも現れていると思います」

3.So wonderful

「ジェット機に乗り雲の上に出て、青の世界を享受する。
その喜びを持ち、どこかで待っていてくれている人に会いにいきたい。
以前にも『夏休み世界一周』
という旅客機をテーマにした曲がありますが、空を飛ぶ飛行機はSCOFにとって
インスピレーションをもたらす乗り物です。もちろん自転車も。そしてクルマも……。

移動すると言う事は、九州から東京へ15年前に来た気持ちがそのまま、まだ潜んでいて、
いつでも動く準備がある私達の気持ちを表しているようです。
移動は、気持ちも、モノも軽い方がいい……。
この曲のミックスダウンは、アルバムの中でも、時を要した曲です。
時間と共にいろんな事が次々に巻き起こるビートの中で、
ボーカルとのバランスの見極めが重要な部分を占める、
場所取り合戦みたいなコトでしょうか。
最終的にスネアを右に寄せたりしています。」

4.くちばし

「3曲目から繋がるかたちの、インタールード。
"So wonderful"のアウトロを作っている時に、
ビートで物語が繋がっていく感じを求めて作りました。
そして5曲目にバトンタッチ出来るようにBPMも前後二曲の中間にしています。
サンプルは変拍子だったモノを4/4に。
飛ぶ鳥が、暗闇から外を見ているみたいに、くちばしだけが見えている….。」

5.Run and Run

「普通に日々の生活を続けて行く事は、実は難しいというコトを知る。
知れば知る程、平気な顔をしていても心持ちはいつも右往左往する。
不安や落胆、怒りや悲しみの出る先と、いかにも解りやすい正論と対峙できるのは、
自身の誇りだけかもしれない。そんな思いを綴った曲です。
サンプルはサツキのフェイバリットなソフトロックの一つ。
今回のアルバムの中でも、パワー溢れる曲になりました。」

6.歩きながら考えた

「ラップ部分は実際に、青山から渋谷まで歩いた時に書いた曲です。
気持ちの良い晴れた午後に、246沿いを歩きながら、
国連大学の前を通り、公園通りの本屋に立寄る。
そして、最後に喫茶店でコーヒー飲みながらノートに書き落としました。
ビートはmpcのフィルターエンヴェロープを使った、通称フワフワビート。」

7.Vista

「制作を始めて、ある日やってきた3月…。脳が静止したまま通り過ぎる日々。
…そして4月。
制作途中の出来事は、あまりに大きなコトだと腑に落ちるまで時間がかかる程、
全てが停止したような状況の中でも。何かを。どこかに。手探るように作った曲。
タイトルにこそまさに、そんな気持ちがでている「眺望」…。混乱を消し去り、
あふれる情報を整理し、未来を垣間見たい…。
そんな時に絞り出すように作った曲です。ビートは合唱隊&P-Funk。」

8.Best Friend

「元々、違う曲で構築していたビートが、途中から気持ちよく馴染まない。
そのビートを作りなおしたところから、思えばスタートしたのかもしれません。
けっこう、そんな事が興味深く音に反映されていると思います。
珍しくサンプルからではなくシンセのみで作ってドラムもカシオトーンからの音。
歌詞は「あるヒト達」の事を思いながら書いたものです。
それもSCOFにとっては稀な事…。」


9.Superstar

「正義のヒーローはいつも私達の傍にいました。
ブラウン管の向こう側や、頭の中で想像し活躍する彼らは、いつでも子供の味方です。
いじめっ子や学校の先生、五月蝿い親をコラシメてくれるスーパースター。
子供だけじゃない。大人にだって必要だったスーパースター。…… 。
今こそ、必要なのは彼ら?。でも何処にも居ない事は、もう知っています。
ビートはサンプルから作って、そこからまた様々な
シンセサイザーや今回唯一参加してくださった上田さんのギター、
ピアノなど…沢山の音が重なっています。
当初はフェイドアウトで終わるつもりが、
何度かライヴをしてアレンジを施すうちにこのカタチになりました。
さて、スーパースターは今いるのか?…。ほら、後ろに!…。
見つけたら離さないで下さいね」

10.あかつき

「インタールード。激しさの前の静けさ。ホワイトノイズの波。エレピの歪み。
スネアはタイプライターのリターン音です。
タイトルとおり、毎日「あかつきの日」を願い待っています」

11.22nd century

「近未来をテーマにした映画や漫画は、街が荒廃し、暴力が支配する。
そんな場面が多くを占める作品を見る度、それをファンタジーや半分絵空事、
娯楽として人間は楽しんでいるんだなとちょっと離れたところで見ていました。
未だに車は空を飛んでいないけれど 、
ひょっとしたらこの先現実としてありえなくもない事かもしれない。
少しだけ考える。少しだけにしときたいくらいだけど….。
ビートは本作の中でも一番古くから存在していたと思います。ポリリズム。」

12.Call my name

「11曲目の空想の世界から目を覚し、未来から現実へと戻る。
部屋でぼんやりたたずみ時間だけが通り過ぎる。
外は雨。孤独は好きだけど、寂しいのは嫌い。
これからの日々の過ごし方を考える時が、今まさに来ているはずなのに……。
だけど、答えはちっとも出てこない。
エレピは、ウーリッツァーを弾いてます。
このウーリッツァーは今回、アルバムの至る所で登場します。
最初から最後までアズマとサツキがユニゾンで歌うのは初めてです。
そのユニゾン部分に、少しだけ毒にも似たエキスを入れました。
Call my name……思いは届いた?」

13.暮しの手帖

「日常は、いつも落ち着いて心優しく穏やかな方がいい。
そうそうドラマティックな事や、吃驚する事が起こっても困ってしまいます。
起きて、お茶を飲み、窓の外を見る。身支度をし、出かけ大切な人にも会う。
一日の事を話し、夕食を食べ楽しい事を思い出しふと笑顔になる。
そんな少しの事を、愛おしくかけがえの無いものに感じる。
そんな事と同じように、音楽を作り、ライブをして聴いてもらい、
たくさんの人にも会い、話し、そしてまた音楽を作る。
呼吸をするように….。それが、出来れば、OK……。オッケー。」


14.ラヴリーデイ

「アルバムが出来上がった時はこの曲が最後の曲でした。
故に、曲順を決めた後、13曲目から繋がるようにキーを
変えてビートを作り直します。
ストリングスのサンプル、コスミックなSE、
曲が型作られて行く時に自ずとテーマが決まりました。
音が呼んだ?
私達の曲には様々な乗り物が登場します。3曲目にも書いたように、
移動する方法は違ってもどこへでもいつでも行ける。
そう、思っているんだなと作りながら再確認。
Never Never Landの時のように宇宙へも旅は続きます。
言わばいつも家で座っている椅子からさよならをし、
宇宙も自分なのですからぐるりと廻って、愛すべき世界をその日を思う。

この曲が、アルバム「Suparstar」最後の曲です。この時までは…….」


15.Robin

「実は、アルバム制作中盤まで存在していなかった曲、Robinです。
全てアルバムも完成し、ミックスダウンのみと私達も思っていた頃…。
2012年の年を越え、日々いつものように組んだビートからRobinは生まれました。
二人でもあっという間に出来た曲を、言わば私達からの
『みんなへ。ここまで聴いてくれてありがとう』のスーベニア。
お土産として聴いてもらおうと、最後に袋につめた曲です。

テーマも20年前頃の、私達や周りの友人達全てが音楽に取り憑かれたように
熱狂していた時代を思い出して書いています。」


Small Circle of Friends Studio75 - Satsuki & Azuma